このクリニックの特徴
痛みの軽減・消失を目的に治療を行うペインクリニックの特徴を紹介します。興味のある看護師は確認しておきましょう。
「痛みの悪循環」を断ち切る
痛みの元となる刺激が神経を伝わって脊髄から脳に達し、痛みとなって表出します。また、一部には脊髄を介して運動神経や交感神経に刺激を与えるものもあります。筋肉や血管の収縮が起こることで血流が悪くなり、酸素不足や代謝が鈍るなどの症状が生じ、それが痛みにつながるケースも少なくありません。そしてさらに痛みが強まっていくわけですが、これを「痛みの悪循環」と呼びます。頭痛を我慢していると、ますます痛みがひどくなっていきませんか?これが痛みの悪循環なのです。
そこで重要なのが、一時的にでも痛みを遮断することです。痛みの悪循環を断ち切ることで、悪化を防ぎます。そのため、ペインクリニックでは神経ブロックによる治療法が用いられているんですね。
他国とは異なる形で発展を遂げてきた
日本のペインクリニックの特徴は、痛みの強い時期には病態が改善するまで頻繁に治療を行う点です。日本で行われている治療のレベルは世界的に見ても最高水準にあり、独特の発展を遂げてきました。その背景にあるのが日本特有の医療制度です。欧米では一件あたりの医療費が高いので、医療機関に何回も受診して治療を繰り返し行うケースが少ないんですね。一方、日本では医師の技術料が低く医療費が抑えられているので、短期間で何度も治療を行うことができるのです。これは患者にとって非常に助かりますし、医療を提供する側としても多くの症例を経験できるため、自ずと医療のレベルも上がっていきます。痛みによって動くこともままならない急性期の患者に対しては、早期に痛みを取り除くための治療を施さなければなりません。それには繰り返しの神経ブロックが有効で、かつ副作用もないので何度でも治療を行うことができるというわけですね。
例えば、欧米の医療制度は一日で約5~6人の患者の診療で成り立っています。それぞれの患者に対してかけられる時間が長いというメリットはありますが、診療数が限られてしまうというデメリットもあります。日本は一日で約50人の診療を行うことで医療制度が成り立っています。国民皆保険制度によって安価かつ公平に医療を提供する体制が整っているからこそ、世界一の長寿国になったんですね。
これからも日本のペインクリニックは独特の発展を遂げていくでしょう。需要も伸びているため、今のうちに勉強しておけばキャリアアップを見込めるかもしれませんよ。患者のQOL向上を目的としたケアに興味のある看護師はぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?